―世界樹の上へ―[やがて魔方陣で世界樹の枝へと送られれば、濃い緑の匂いに淡藤色の瞳を瞬かせ、その後に周囲を見回してレオが一緒である事にほっとする。神官長が二人一組で、と言っていたように、どうやら勇者候補達は同じ力を宿す者同士でばらばらに送られたらしい。現在位置を特定しないまま移動する事は、箱入り娘にとっても初めての事であり、まして土地勘はない。]――…。[周囲に漂う霧の海に飲まれそうになる心を奮い立たせる。霧もまた水の形を変えたもの。恐れる必要はないと。]