―京都駅―
[>>39>>45>>55さまざまな視線に晒され立ち去る聖前を見送る中、なにやら一瞬また狐色が見えたような気もしたが。
結局、頭の中に聞こえた声の正体もわからぬまま。列車は定刻通り駅に到着し。
この日のために新調したネイビーのキャリーを持ってホームに降りる。
古都の空気は新鮮なのに、頭の中が聖前の事でいっぱいいっぱいで、
>>1学年主任からの課題を指示する声が、なんだか現実味無く響いた。]
やっぱ、怒ってるよな……。
[つい視界に姿を探してしまうが、しっかりそちらを見ることも出来ないまま俯く。
教師達の解散号令後、そこかしこから行き先など相談する声が聞こえてきて、やっと京都に来た自覚が出てきたほどだ。
まともに彼を見ることが出来ず、携帯を取り出してメールを打ち込もうとするものの。
こんな時になんて書いたらいいのか、分からずに。
しばらく躊躇った後、結局は何も送信できないままに携帯をしまう。]