―回想 黒衣の魔獣―[ 己の身に流れる癒しの力は渦巻く魔の力がその躯を蝕む事を妨げていたそれでも彼の傍へ近寄れば色濃い魔気>>117に一瞬くらりと視界が揺れる先ほど垣間見た姿は魔獣と称するに相応しい姿であったが、周りにいるものとは別格であることは容易に想像がついた魔の力も。纏う死の香りも。全てが強力で。爪を濡らす鮮紅に怯みそうになったけれどひいてはいけない、とも感じていた ]