― 野茨城・サロン ―
お久しゅうございます、野茨公、弟君。
此度のお招き、光栄に存じますわ。
[やがてサロンに至ると、ドレスの裾を摘まみ、滑らかに片膝を退く。
随える青年は、自らああ言ったからには>>60彼なりの礼をとるだろうと促しはせず。形ばかりの礼を済ませれば、淑やかさを損ねない程度に足早に歩み寄る。
始祖の血を源とする城主は、気兼ねせずに済む限られた縁者でもあり、その奔放な気質に親近感めいたものも抱いている。
今回の滞在も招待とは名ばかりで、実のところ、折を見て城に呼び寄せてくれるようねだった結果]
またこちらにお伺いできて嬉しい、ギィ様とヴィンセント様に
お会いできるの、ずっと楽しみにしてたんですもの。
[その顔には、稚い娘のような笑みが広がる]