― 帝都より最前線へ赴く道 ―
[ 軍服と同じ白い馬を走らせて、士官用馬車の傍らに着く。
>>162
馬車の窓から顔を出したカサンドラがぽそりと呟けば
騎馬の上から少し大きめの声を出して話しかけた。 ]
冬までもてば良い方かもしれませんね。
ただ、公国側も条件はほぼ同じですよ。
むしろ元々の自給率はあちらの方が低い。
農耕地の面積が帝国より圧倒的に少ないんです。
そのかわり漁業においては――…
[ 淡々と世間話をしていく。
傍から見れば、この二人が元々知り合いだったとは
とても思えないであろう他人行儀さだった。
かつては教官と教え子であり、家族ぐるみのご近所であり、
そして青年にとっては甘酸っぱい初恋の相手であろうなどと――
誰が想像し得ただろうか。 ]