[ ぬるり、と染み出す黒い液が足元に溜まって行く。 ]
「首魁は門の向こうでしか倒せない」
しかし、
「門を一度でも潜った者は、新たな首魁となり、戻れば世界を壊す」
この連鎖を断ち切る方法は、簡単だ。
行った「誰か」を見捨てて扉を閉じること、
「誰か」は、この世界に戻りたいなんて思わない奴を選択することだ。
……俺が行く。
お前は門を閉じろ。
もうこれ以上の時間遡行は不可能だ。
ならば、こんなクソ世界に未練などない。
[ ヤコブを振り返り、テオドールは不意に顔をこわばらせた。 ]