[ 彼女の告白を聞けば、>>3:292
矢張りか、と、それとなく学者は思う。
彼女を"殺した"兄。
契約によって命を奪われた奴隷。
では、そのとき彼女は何をしていたか?
…彼女の言う通り、
"殺すしかなかった"のだろうと予測が出来た。 ]
[ 抗いがたい強い衝動は身に覚えがあるからこそ ]
人狼になってしまった人間は
理性を奪われるほどの強い衝動に蝕まれると聞くよ
…最後には殺すしか方法がないくらいに。
僕が兄貴を殺したように…君がソールを殺したように。
心を守るためには…殺さなければ助けられないって。
[ 相も変わらず平坦な口調で喋るけれど、
彼女の手の、その指先が僅かに
震えた様子を感じ取れば、その時ばかりは
眉を顰めて心配の視線を彼女に送ったのだったか。 ]