[当初、襲撃者たちを押しとどめんとした兵らは果敢に襲撃者らへと立ち向かい、その果敢な無謀さのツケを己の命で贖った。赤紅が舞う、それに漏れた兵らは魔が自ら闇を振るって刈り取った。
その傍ら、フードを被った女は夢の中にあるかの如く佇んでいる。]
確かにここでは、あまり面白くもない。
[そう返したのは、廊下などという狭苦しい空間が、魔の美意識をあまり良い方向に刺激しなかったためである。結局のところ、三者三様の意図が合致する形となった。
足元に死体が転がれば、それは魔の手によって屍兵とされる。
つい先ほどまでの人間がアンデッドとなり、次は己もそうされるのやも知れないのだ。その脅威というより不気味さに少し兵が引く。
いや、それもまた計算の裡だったか。
戦いの場は次第に演習場へと向かっていた。]