なんで、だって?お前が俺の、大事な妹だからだ。リー...忘れる筈がない。お前だって。
[ 皇太子として、身を律して来た五年間の努力も、魔王軍と戦う指揮官としての立場も、今、この瞬間、全てが男の中から消えていた。
危険な魔の前で、無防備に...そして必死に、どこかに隠れてしまった娘の記憶に呼びかける。それが、それだけが自分の望みであるように ]
思い出せ、思い出してくれ...リー。
俺だよ、シェンだ。約束しただろう?
[ 彼女の色...カーネリアンの編み込まれたミサンガを巻いた左腕を差し伸べる。娘の持つ銀の刃を恐れるいろは微塵も無かった ]