[やがてモーリッツは同じ年頃の湯治仲間を見つけて、そちらに向った。当分は別行動になるだろう。
それを確認してから、レジーナに声をかけて、クッキーをもらえないかと声をかける。
”そろそろモーリッツさんを連れてくる頃だろうと、予め焼いといたよ。”という頼もしい返事を貰って顔をほころばせた。]
オットー、タイミングよかったな。
じゃあ、おれがお茶入れるから食堂で食べようか。
[籠を持ったときのオットーのお礼の言葉はよく覚えている。対抗心を抱かれても気にしなくても、嬉しいことには変わりなかった。いつもより声が柔らかい。
もし他の人が欲しいと言ったときに備えて、多目に紅茶を用意する。
特に苦手だとハッキリ言ったヨアヒムは気になっている。少しでも気分が晴れてくれたらいいなと祈りつつ、食堂に向った。
さて、そこには誰が残っているだろうか。]
― →宿屋・食堂