[宿の玄関へと向かい、外に出ようとする姿に咎める声が上がったかも知れない。
男はそれらを無視するようにドアノブに手をかけて扉を開く。]
……うっ わ!!
[開けた途端に、凍るように冷たい風が宿へと舞い込んだ。
慌てて男は扉を閉める。]
おいおい、マジかよ……。
クソッ!
[苛立ちをぶつけるように、ドアを蹴る。
朝から吹雪いていたが、まだ歩けない程ではなかった。
しかし、押し返すような風と、数メートル先の確認もママなら無い今の天候ではそれも難しそうだ。
ひとまずは宿で待機する他なさそうだと判断して、
再び男は部屋の隅に戻った。]