─ 雷華の領域/数日後 ─
[四君子とその従華達による激戦も幕を閉じ、新たな王華による千年が始まってほんの数日。
神だとか魔だとか、そんなものが犇めく譲葉。こと四君子クラスともなれば、どれ程消耗したところで己が領域であれば一両日での回復が可能な者も多いのだろう。
だか、どんなものにも例外は有る。
例えば。]
あ"──……ダリィ、超ねむい、働きたくない…
[見た目だけなら四君子中、最も屈強そうである雷華の、緋色の獣は正にその例外であった。
男は巨大な山羊に跨り、文句を垂れつつ眠そうに首に凭れてその背に揺られている。
常通りの軍服に身を包んではいるが、その左腕は未だ『くっ付いただけ』で、元通りに動く訳ではない。
だからといってさして不便がない理由は、隣を歩く銀髪の青年が何かと世話を焼いてくれるお陰であった。]