…――だめだよ、先生。
その言葉は、いつか、貴方と一緒に幸せになるひとに、とっておかなきゃ…
[それはお前じゃない、お前であって良い筈がないと、轟々と燃える炎の声が苛む。
…そんな事、言われなくても判ってる]
……火傷する、離れた方が良い。
[そっと彼の胸を押せば緩い拘束の腕は容易く解けた。
彼の脇をすり抜けて炎を上げる焼却炉に背を向けた。
彼に見つかってしまっては、きっと自分は正義感の強い彼の心に強く残ってしまう。
自分は解けた腕と同じ容易さで、儚さで、消えてしまった方が良い。
先生の目に付かない所で、また、今度、必ず。
伸びる数多の腕に心の内で約束を交わして、出口へと戻る道を引き返し*]