― 捕虜交換当日 ―
[ 平原の向こうに氷竜軍の軍旗が見えた時、>>73同じ馬車に揺られてきた捕虜達の間に「おお!」という控えめながら嬉しげな歓声が上がった。
彼自身は声はあげずに、じっとその旗を見つめただけだったが、心持ちは彼らと同じだった ]
(いつのまにか、か…)
[ 氷竜軍に身を置いたのは、父への怒りのためだった。息子が敵軍に回ったと知っても、あの石頭が動じるとは思わなかったが、それでも、自分は父のやり方を認めはしない、と、その意思を示すための参戦であり…最初は、己一人のための戦いだった ]