[そして今。
オズワルドの掌には、蒼の宝玉の耳飾りの片割れ。>>153
ジェフロイの手には、先程外した赤い宝玉の耳飾り。
誰かの為の装身具を自身のものと換えるなど、今まで
考えた事も無くて、数度の瞬きと所在無さげな視線を
彷徨わせている。]
このような行為は、行った事が無い。
良いのか、俺の耳飾りを持っていて。
[訊ねはするが、蒼の耳飾りは確りと手に握り込む。
最早護りの力は持たないが、何よりこうする事でより相手の
存在を強く意識出来るような気がする。
物理的な守護ではなく、心の領域に強く作用するような―――。
こんな感覚は初めてで、鼓動が少しばかり早まった。]