[ 時ならぬ海鮮バーベキューで、お腹と気力を満たし『虚無の欠片』が待つはずの山頂へと向かう。
その途中。 ]
王女殿下。お許し願いたいことがあります。
[ 並走するように騎竜を寄せ、これまで騎竜師として接してきた相手に、敢えて、口調を変えて切り出した。 ]
天輪湖の水をほんの少し、分けてもらってもいいでしょうか?
[ ユウレン王家の定める禁足地である湖に手をつけるという願いは、今、この場でなければ口にすることもできないもの。 ]
(必要だって言われても、さすがに無理だろうと、思ったけど)
[ きっと導きがあるだろう、と、告げたのは隠者だった。 ]