― 公園/樹の根元 ―
[果実をしゃくるパメラの胸中など知る由もなく。
閉じた瞳が再び開かれたのは、彼女が果実を食べ終わる頃。
疲労は完全には解消されていないが、最初よりはマシ、と言ったところか。
胸と右脇腹の傷は治療されていないが、止血はされたようだ]
………
[膝に乗せられた果実は転がり、胡坐のために重ね合わせた足首辺りに落ちている。
紅の付いた右手でそれを拾い上げ、徐に口へと運んだ。
しゃり、と果実が削れる音が零れ落ちる]
…………
[音を響かせながら、別の音を拾おうと耳に意識を集中。
生体改造により得た超聴力は、可聴範囲はあれど常人よりも遠くの音を拾うことが出来る。
都市の端の森は流石に無理だったが、上空にて交差する音は辛うじて拾うことが出来た]