―― 中庭 ――
[それは一瞬の出来事であった。
ふいに手提げかばんがもぞもぞと動いたと思ったら、
黒一色の翼を広げて中から飛び出すのは――もちろんウンブラだ。それ以外にはない。
しかし、こういうことは少年にとって初めてだったので、
正直びっくりした。
目を丸くして宙を舞う相棒を見上げていたが、]
す、……すごくはしゃいでる感じだし、
そのままにしといた方がいいかなあ。
[それに、少年が地上を探し、かれが空から探せばそれはそれで便利な気がする。
飛んで探せるのが一番便利だが、それはあくまで相棒が十分に成長してからの話]