─ 異界門→雷華の領域へ ─
[ルートヴィヒの反応はどうだったか。
それには構わず、ガートルートは青年の身体を事も無げに抱え上げる。
身伏せてくれる狼の背へひょいと乗せると、もう一頭の方へ顔を向け。少し考えるような間の後、ルートヴィヒを乗せたウルの背へ自らも飛び乗った。]
『 ガァト、おもい、シヴにのったらいいのに 』
[迷惑そうな声に豪快に笑って、まあそう言うなと背を撫でてやる。
青年の背後に座り、背凭れ代わりにでもしたらいいとその銀髪を柔く梳いた。]
ルートは理解が早くて助かるな。
俺は小難しい説明は苦手だ。回りくどいのも面倒くさくて敵わん。
[己の為すべきことを、と請うた相手に>>154、はてどう説明したものかと頭を巡らし、三秒と持たずそれを放棄する。
従華として招かれた人間が、抵抗や逃避を試みるというのはよく聞く話だ。
それを四君子が力尽くなり謀略なりで従わせるのも。
しかし、ルートヴィヒはその気配すら見せない。人の反応としてはおよそらしくは無いそれを、しかし緋色の獣は折り込み済みとでも言わんばかりに気にした素振りは無かった。]