― 五年前・帝都震撼 ―
[クルーザン帝国の初代皇帝が堅実に国を動かす人物であることは、近くで見るようになった数年でもかなり実感出来たように思う。
時代が時代なら、とても人気のある皇帝になったことだろう。
だが時代が悪かった。
情勢が悪かった。
先のこと、民のことを良く考えていた皇帝だったが、刹那を求める者達にはその行動がじれったく、不満に思われていたようだ。
男もまた、その身に宿す業を活かせぬ日々を退屈思っており、少なからずの不満を抱いていた]
俺の剣は護りの剣じゃあねぇんだがな。
[いつだったか、ぼやいた言葉を聞いた者がいるかもしれない。
人を斬る業を持ちながら、
自分を活かせぬ立場に縛られている現状に満足しているはずがなかった]