[連れられるがままに、こじんまりとした菓子屋に
足を運ぶと評判の焼き菓子を何個か買い込む。]
ええねえ。豊かな証拠や。
小麦があってバターがあって砂糖があって…──。
貿易に頼ってるとこかて多いけど
国産で賄えてるとこかてようさんある。
[そういって買ったばかりのお菓子をパクッとひと口。
お礼と言わんばかりにリーゼロッテにもおすそ分けに、と一つ。]
うん、美味いなあ。ほんまにありがとうな。
リーゼロッテやったっけ?名前。
ほら、チェンバレンやとお爺様と被るしな。
[とちゃっかり名前で呼びながら城へ戻ろうかと
元来た道を戻る道中。
外務長官殿の姿が見えて、ほうと一考したのだった。]