[支えを借りながらも、柔らかく腕は彼女を抱いていた。聖将と謳われた男が、魔物の肩を借りるという皮肉げな姿は、それでも何故か寄り添うに似ていた。影に誘導されて至った場にて、彼に告げた己の言の葉。それがどれ程の重さと、背徳に塗られているか、信仰厚い教会が聞けば、蒼白となっただろう。だが、生憎、自分は余り神を信じていなかった。強いて言えば、聖女の言葉が一つ、強く残っていたが、子供を言い訳にする心算など到底なかった。]