[皮肉にも自らの意思でカサンドラを喰らおうとした結果、
自らの身に降りかかる生温かな真紅の雨を浴び
“ソマリ”は意識を取り戻すと同時に>>105彼女の名前を叫ぶ。
彼女が完全にガルーに意識を支配されること――
即ち、完全に己の仲間となるその前に、阻む。
これ以上新たな化け物を増やさずとも良い。
そのことにより悲しむ人がこれ以上増えてはいけない。
この世で人狼が生きる辛さは、己が一番良く知っているのだから。
カサンドラがどれを以って幸せと判断するかは、理解出来ないだろう。
それは他人が理解するものでは無く、彼女自身が決めるのだから>>61。]
……おはよう。
[ごめんな、と謝るべきかと一寸躊躇う。
ここはあえて一言で飲み込んだ。
何せこの大量出血、彼女の顔色は蒼白くなっていただろうか。
なのに、浮かべられた自然な笑みと声に心からの安堵を覚えたのだ。
――己はこれを求めていたのだ、と。
幸いここはNルーム。
彼女を両手で抱きかかえ、未使用のコクーンへと横たわらせることに。]