[アレイゼル軍を用いて来たのは、治安維持以上にこちらの本命。
そう、兼ねてよりクレメンスとの対峙で大きく浮き彫りに晒された、貴族諸侯の一斉摘発。
コレから国は生まれ変わる、新しい場所へと行くのだ。
その為には不要と判断する物。花に群がる害虫を摘み出す機会は、やはり今この時以外には存在しない。
年末の大掃除もしないで、美味しい節は食べられないからね。
地区や組織から提出される治安や行政の書類を裁きながらも、共和国の副使が居る時、男はそう、穏やかそうな黒い笑みで事も無げに告げていた。
正面から見れば、悪辣な貴族への制裁だろう。
背中から見れば、己に従わない貴族を陥れる残酷だろう。
そして側面で見れば、これからのナミュールに本当の意味で必要と判断される貴族の選別。
益ならぬ虫の中にもいる、花より蜜を授かり粉を運ぶ事の出来る者達を見出し。
咲き誇る花をより豊かに]