[ 男の身を守る氷の粒は、焔に炙られて気流を歪め、陽炎のように男の姿をゆらめかせる。あるいはそれは、焔と氷の間に現身を溶かし、一体となって空を奔る、別の生き物のようにも見えただろうか。 ]もう、逃げられんぞ?[ 男の身を運んだ乱気流が蛇の残った片翼を折り、重ねられた幾つもの力が、その動きを鈍らせ弱らせている。男は軽々と、その背に降りて、焔を纏う氷...有り得ぬ二つを一つにした刃で真珠色の背を深々と貫いた。*]