[目の前で椅子から立ち上がる──ことも出来ずに崩れる青年>>165。反射的に手を差し出すが間に合わない。] フランツ…さん…?[小さな頃から通った雑貨屋さんの頼りになるお兄さん。手先が器用で壊れたオモチャも何度も直してもらった。初等部入学の時にお祝いで貰った腕時計は何度直してもらったか分からない。明るく、いつも朗らかな笑顔。その笑顔が───何処か空虚だ。背筋がゾッとする。 ───助けなきゃ…その想いに反して、足は一歩──引いていた。]**