― 隠里 ―[呪具が完成し、身支度を整えた男はその呪具を両手で掬い上げる。竜眼石自体に刻印は入れず、その周囲を銀で出来た装飾品で包みあげた。装飾品は竜の形に彫られており、竜眼石を包むことで青銀色の竜が浮かび上がる。老竜の全盛期を彷彿とさせる姿。伝承に残るその姿を、男は呪具として顕現させた。男は呪具──龍の目《ドラコスマティ》を専用の止め具で右腰に提げる] よし、それじゃあ行って来るよ。[隠里に残る者達に声をかけ、男は転移魔法を唱えた。消耗に拘っている場合ではない、今は時間が惜しい]