― ラバル家屋敷・第二の客間 ―
[幾つかあてはあったのだが、この方に呼び止められたのは運が良いというべきか。タイミングが悪いというべきか。だいぶ鬱憤がたまっていたようで、屋敷になかば引きずり込まれるように招かれて、ひたすらに相手の話を聞く。]
そうですか、ご子息がご婚約を。
おめでとうございます。
ええ、晴れの日を迎える折には是非またこの国へと伺いましょう。
[ラバル夫人はこの国におけるご贔屓の一人。長閑な自然に恵まれる反面、娯楽の少ない西の領主。西の屋敷に度々賓客として迎えいれてくれる程度には縁のある方だった。]