[一層に傾く上体、彼を見下ろす月色は逆光に翳り、些か暗い。 彼が真摯に背を反らし、額への礼儀を刻もうとするなら――――、 本来、不敬と断じられ禁忌とされる天使への接触を果たす。 彼の腰を浮かせるように回った腕は、老年にしては力強く。 身じろぎを許さぬサルベージはまるで拘束。 晒された我が身の額に彼の唇が降れることは無く、祝福は別のものに上塗りされる。眸だけで笑う男の唇が微かに濡れる音だけで開閉し。]