― 回想:戦場 ―
オラ!!死にたい奴は、前に出ろ!
[突出するのは毎度の事だった。目立つ容姿、目立つ軍服、目立つ白馬、そして、何より馬上で振り回すツヴァイヘンダーの長大な威容。
少年兵の多い戦場という条件も重なって、それらが敵の動揺を誘うに効果的である事は実証されていた。
だから…その時彼は、恐らく慢心していたのだ。
運良く敵の部隊長を倒した事に勢いを得て、このまま膠着した戦況に突破口を開くことが可能かもしれない、と、欲を出した]
邪魔する奴は、叩き斬るぞ!
[実際には、ここへ到るまでに友軍の兵力もかなり削がれ、深追いしたせいで、後続の部隊も遅れている。敵の動揺、という、不確定要素に頼った勢いなどは、容易く覆されるものに過ぎないと、そう判断出来るだけの経験も冷静さも、この時の彼には無かった]