[「独りにしないでほしい」と告げたあの言葉、あれは約束では無く、ただ彼を生へと縛り付ける枷だった。
ああ言えば彼は、自分を一人残す事を善しとせず生き残る道を考えてくれると思っただけだ。
けれど、意図した形と違う呪縛として彼を縛ってしまったらしい。
それが自分にとって、彼にとって、良かったのか、悪かったのかは判らない。
彼の耳には、きっと、自分の声は「誰も味方でいてくれない」と、嘆いて居る様に聞こえたのだろう。
正しくは、誰の味方にもなれない、誰も味方を作る事の出来ない自分自身を嘆いていただけだったのに。
自分は誰も信じる事はできない。彼ですら。…裏切ることは容易いのに]