[ 隣に立つクロートと無言で視線を交わし、同時に地を蹴った。
駆ける頭上には、紫の炎を閃かせて羽ばたく鳥が添う ]
我が手に宿るは聖魔の光 移ろう影...
[ 詠唱を始めながら、足を止めたタイガにちらりと視線を向けるが>>144その思う所は知らず。
けれど、彼が抱いた、勇者の影との評は正しくアルフレッドの在りようを示している。
王となることはなく、英雄となることもなく、勇者ともなれぬ、けれど、王を支え、英雄を支え、勇者を支える影たらん、と、生き様を決め、この旅を乗り越えたのは確かだ ]
クロート!
[ 名を呼ぶ声ひとつと目配せひとつ、それだけで二人は左右に分かれ、別方向から『影』に向かっていく ]
っ!
[ 剣が届く範囲に近づく前に、影の放った矢の一本が、アルフレッドの影を貫き、動きを縛る。恐らくは同じ矢がクロートの方へも飛んだだろう ]