― クリーク砦 ―[懐に仕舞いこまれた紙が、引き続き伝令に渡されることはない。向かい来る敵兵の数に動じた風もない。それはある程度想定の範囲内であったこともある、また、兵の前で動揺を見せぬ将たる者の心得でもあった。それでも堂々たる陣容に、些か苦笑の影も過ぎるが。] 参ったが…、…負けはせんさ。[こちらの様子を窺うような視線>>156には、僅か肩を竦めるようにしながらも笑み返す。気負いではなく悲壮でもない。笑み浮かべる男は、ただ淡々として先を見ている。]