―旗艦シュヴァルツアイン・執務室―
[殊勝という感想>>106を、ロー・シェンは肯定も否定もしなかった。
ただ黙して、若き主が満足そうに口角を上げる様を瞳に映す。]
…、そのようなことまで
陛下の耳に入っておりましたか――。
[心の裡でささやかな苦笑を零す。]
こちらはいつでもお帰りをお待ち申し上げております
と、お伝えしたのですが。
腰を打った時、耳まで遠くなったらしい…との返答で。
[実に飄々とした老獪であった。若い者をうまく使うコツを心得ているとも言う。
いろいろ目を掛けてもらった上司であるし、期待に応えるのは吝かでは無いが…。聊か、手のひらの上で転がされている心地も浮かばなくはなかった。]