人間に、化けた……狼?[冗談めかしたヨアヒムの答えに、虚を突かれたように目を丸くする。伝説――と言ってしまうには生々しいが、人狼の物語はリゼットも知っていた。 けれど、謂わば御伽噺の怪物と、目の前にある古びた本の不吉な印象がどうしても噛み合わない] 怖い、ですね。[読み上げられた一節を耳にして、ぽそりと呟いた。それでも本から視線を離さないリゼットに思うところがあったのか、青年は本を開き、字の読めない少女へと挿絵を示した>>167]