[もし天文学者が居て、過去消滅したとある星のことを知っているのならば、聞きたくはあるのだが。かつて船内の資料室でその資料を漁ったこともあった。まず資料数が圧倒的に少ない。その数少ない資料ですら、ほぼ教科書程度の記述しか無く。今現在出向先の星に居心地の良さを感じているのも、きっとその星が似ているからなのだろう。現在では消滅し、存在すら残っていない名も無き星――自身の故郷であるトゥランタに。そう、自分にはもう故郷は存在しない。帰る場所も、何もかも。**]