[続く言葉――「あたしの冬支度がまだ大丈夫じゃない」>>157――という言葉を聞けば、驚いた表情を見せて。その後に続く言葉は、耳に入っているのかどうかすら疑わしく。
「セーターの編み方の本……」くらいまでエルナが言ったところで、それを遮るかのような小気味よい音がカウンターから響く。
カウンターを打った右手に力を込めてそのまま身を乗り出し、エルナの眼前、下手に姿勢を崩せばおでこ同士が接触しそうな位置まで顔を近づけ。表情は真剣そのものの。]
正直に話して下さい。全部。
何が終わってないんですか。
私は何を手伝えますか。
[フリーデルの目線はまっすぐで、真剣に怒っているように見える。暢気なエルナが最初に「まだ大丈夫じゃない」と言うからには、恐らく本当に大丈夫じゃないと推測した。――フリーデルがそう考えるだろう、ということくらいは、村の者なら大抵解るはずで。]