[パン屋の青年、オットーが注文を受けてトレイにパンをのせるたび、ふわりと香ばしい香りが舞った。
空腹時には堪える匂いだ。
ぐぅ、と小さく鳴った腹を慌てて押さえた。
ペーターやオットーは気づいていない様子。
本当に聞こえなかったか、聞こえないふりをしてくれたかのどちらかだろう。
ほっとため息をつく。
オットーからペーターの恥ずかしい思い出が語られたのはそんなとき。>>139
ペーターが慌ててナイショだという仕草を示し、>>147オットーが悪戯っぽく肩を竦める。>>150
普段なら声を上げて笑うところだが今日は腹が鳴った気恥かしさを誤魔化すように曖昧な笑みを浮かべるのみだった。]