[「"ルゥ兄"のひどく慌てた様子が心配だから見て来る」とカタリナが言うのに少女は驚いた様に瞬きはしたが、談話室を出てゲルトの後を追うのを止めはしなかった。
以前は羊飼いはルゥ兄と呼ぶのを躊躇っていたのに。哀しい事や辛い事がいっぱいあった中でも些細ではあるけれどカタリナの其れは良い変化だと少女には思えた。
外では吹雪が吹いている。時折、暖炉の火がぱちぱちと爆ぜる音、ノートのページを捲る音が聴こえて来た。テーブルに置かれたノートを見つめているオットーを少女は見ていた。
何やら呟いてオットーが静かに目蓋を伏せたのと同時に少女は口を開く。]
あのね、オットー。
わたし、オットーの言葉をわたしなりに考えてみたの。
[ごめんなさい、ごめんなさい、と謝る少女を頑なに拒んだオットー。>>4:311
「…あいつの分まで生きて欲しい。」その言葉を少女なりに一生懸命に悩み考えて。]