― 戦場 ―
ごちゃごちゃ、うるせー!
[ この男には、いや、他の誰にも解るまい。あの傭兵と己との間に剣を通じて交わされたもののことは。
そう確信していたから、彼は一言のもとにコンラートの言葉を切り捨てる>>165 ]
お前なら、邪魔者は全部排除できるってわけか?
[ 白竜も騎竜師も、傷ついているようだった。キアラとの戦闘で負った傷なのだろう。相手もまた、その背に譲れぬものを背負っている事を彼は知っている ]
(だったら何故キアラを殺さなかった?)
[ 浮かんだ問いは口にしない。コンラートに彼の事が解らぬように、彼にあの少女と風刃の騎竜師の間にあるもののことは解らない。だから踏み込まない。
甘いのかもしれない。だが、全てを切り捨て、踏みにじることによって掴む勝利を…父のようには望まぬと、そう決めていた ]