― 霊王の領域 ―
[上空で騎竜から飛び降りる、という動きは、遠い昔の実戦で身に着けたもの。
そもそも先達者などいない戦い方、全てが場当たり思い付きで構成されていると言っても過言ではない。
ちなみに、その実戦の相手は、大半が大型の魔獣の類だったため、余計に大味である、というのは余談として]
……っと!
[後退から、突きへ移行する動きに目を細めつつ、大剣はどうせ止められないからそのまま振り切る。
繰り出された突きは、目くらましの効果もあって浅いもの。
それでも、回避というものを完全に捨てた動きでは脇を掠めるのは避けられず。
タイミングよく降りてきた白銀の背に戻った直後、朱がうっすらと滲んだ]