―回想 7年前 2/2―
ならば、非合法でも力で取り返そう、というのか。
なるほど、私を雇うだけあって、あなたもなかなかの悪党だ。
「いやいや、金を返さない程の悪党は居ないよ」
[この時。カイはまだ知らない。
借りた金は、クララという愛娘の目の治療費であったということを。
金貸しは知っていたようだが、だからこそ、その金は戻らないと確信していた。
その金を全て使い切って、貸した金を返せるだけの能力はあの家には無いと予測していたから。
財産は奪っても希望は奪わないという彼の流儀には、明らかに反した依頼。
知っていれば、断ったのかもしれないが。
この事をカイ――その時にはディーターと名乗っているが――が思い出し、己の過ちに気づくのは7年後であった]
……確かに、承った。
―回想終了―