帰りたいだけ、だと……?
そなた、何のためにここに在る。
思い望んで来たわけでないにしろ、何かを成し得る力があるからこそ選ばれたのであろう。
そんな特権が与えられながら、力を求められてその力を行使しようとしない者に生きる資格など無いわ!
[若い男に対して激昂したのは、かろうじて敬語になったことへの不足感ではなく――戦う意志のないこと(>>155)についてだった。
好き好んでこの世界に来た女王にとって、この戦の世界にいながら戦うことを拒否しようとした目の前の男に理由無く怒りを覚えた。
――あのとき、遠征に参加しなかった高級貴族たちを凱旋後に全員粛清することを宣言したのと同じ想いであることは本人が思い出すことは無く]