― ゾネス要塞 ―
[一度は寝床に入って休んだものの、部屋の扉を叩く音にすぐ目を覚ました。
聞けば、総督からの呼び出しだという。>>161
手早く髪をまとめて身だしなみを整えると、真っ直ぐに総督の部屋へ向かった]
何か御用でしょうか?
[用を伺えば、親書を届けるという命令だ。宛先は]
フェリックス殿下へ、ですか。
[一瞬驚きはしたものの、目の前の女性は貴族の娘だ。王室と交流があっても何ら不思議ではない。
宛先が王子となれば、親書の内容は当然気になるが、今はその気配を出すわけにはいかない。
あくまで事務的な態度で請け負うと、その場に丁重に跪いた]
かしこまりました。
必ずやフェリックス殿下へお届けいたします。