そういう割には随分言い淀むんだな、瑠璃。
――…もう、ホームシックか?
[語尾を持ち上げて、皮肉屋めいて唇を撓らせた。>>140
忙しない両親は幾らも国内に留まらず、爆弾だけを投下して成田の国際ゲートを潜っていった。故に掛けた言葉は分かり易い揶揄。]
俺は一本芯を通したまま十八年を生きてきたぞ。
――…ほら、この通り。
[徐に腕を伸ばすと、彼女が手にしていたポッキーを一本引き出し、皇等に配り損ねた菓子を貰う。
薄く開いた唇に咥えると、中ほどで破片を零すことなく丁寧に折り、半分を琉璃の口元へ差し出した。
当たり前のように菓子を分け合う姿は、彼女が指摘するよう通常運転。
決して見目が揮るわぬ訳でも、頭の出来が宜しくない訳でも、運動神経が鈍っている訳でもなかったが、クラスで実しやかに囁かれるのは、残念なシスコンと云う、己にとっては、悪くない響きを持つレッテルだった。]