[ひとつでふたつと野茨公は言う。
どちらの悦びも知らずにいた者にとっては考えもしなかった事。
祝福、と紡いだ彼の存在こそが、ジークムントにとって祝福に思えた。
揺さぶりに支え無くした腰が婀娜に揺れて
泉より溢れたぬめる熱が主の指に絡み肌を伝い落ちる。]
――、ぁ…っ。
ギィさま、――…私は、あなたを、心よりお慕いして、
[首筋に掛かる吐息と口付けに甘く啼いて愛を囁く。
握りしめていた己の手を解き、野茨公の頬を包もうと伸びるはその両手。
蕩けた翆が赤の双眸を覗きこみ、躊躇うような仕草のあと
愛を与えてくれたその形よいくちびるに己のそれを寄せる。]
――――……。
[愛しいあなたに触れたい、と己の想いを告げて
すると滑らせた指先が、きちりと止まるボタンに触れた。*]