流水の守護者 ベルティルデ

[彼女の家族について語られるのには少し驚いた。
母親を失い、二人で生きてきた父親が再婚した、というのには思わず目を伏せた。
少女の二親は健在で、その心情は想像するしかないが。
彼女が口を結んだところで少女は口を開く。]

――レオはご両親の事がとても大事なのですね。
その気持ちは私もとてもよく分かりますわ。

私がレオの立場でも、きっと異界に残るという選択をするのは難しいと思いますし。
…私はこの世界で沢山のものを貰って来ましたから。

[胸の前で指を組む。
今この時も身の裡に感じられる流水の加護。
生まれた時から受けてきた庇護、愛情。そして期待。
それらは錨となって自分をこの世界に繋ぎ止めている。
それが重いなんて思わない。]