― 少し前/第二王子自室 ―
[近衛兵が出ていく前だったか後だったか。
傍らより聞こえた声>>163に、ウェルシュは振り返った。]
……………。そうだな。
[沈黙ののちに同意を示してみせたウェルシュには、怒りの色が強い。それでも言は入れたようで、以後同じ言葉が使われることはなかった。
とはいえ。兵はともかく、将の責は問わねばならぬ。
それは間違いがなく、目前の彼の危惧するところでもあるのやも知れなかったが、それを音にすることはウェルシュとてしなかった。
リーゼロッテが謝罪>>160をみせ、駆けていくのを止めることはしない。
自らの言葉が彼女に何の確信を与えたのか、ウェルシュは気付くことはなかった。死因が明かされていないことにも気が付いていない。
それ程に、今は民の目線との間には乖離がある。]