[玉座にてゆるりと寛いでいた魔の耳に、声が届いた。>>160絶えず響き続けている思念ではない。涼やかで透明な魔力を伴う、体温のある声だ。わざわざここまで声を届けてきた事実に興味を覚えて耳を傾けていたが、声の主が何者かを把握し、次々放たれる言葉を聞いて、憤然と立ちあがった。] 我が、怖気づいただと? ……は。 一度のみならず、 我を、 二度も侮るか。[ゆらと周囲の空気が揺らぎ、踏みしめる岩石が変色して煙を吹く。小賢しくも囀る言葉が、一々怒りの炉に薪をくべた。]