[>>158 傍らでもぞりと動くニコラスに、一度身体が跳ねて。呟かれた言葉を耳が拾えば、了解との返事。そのまま起きる様子の無い彼は、また眠ってしまったのだろうか。顔を覗きこんでも、閉じられた瞳が開く様子は無い。] ニコラス、兄さん…。[目の前の、己が焦がれるその人を呼ぶ声は――切なく。伸ばした手は彼の金糸の先に触れたあと、すぐに引っ込める。高鳴る鼓動が、ぐちゃりと整理のできない感情が、焦りを呼ぶ。無言のまま、杖を片手に立ち上がると、男はニコラスの眠る自室を後にした*]